読書は人間の夢を見るか

平々凡々な社会人の読書と考えたこと。本文・写真についてはCC-BY-SA。当然ながら引用部分等の著作権は原文著者に属します。

トレンドに関係した資料をつぶやくBotを作ってみた話

むかしむかしにCouseraでPythonをならったりしたものの、特に使うこともなく生きてきたわけですが、最近AtCoderなどを楽しんでいます。

せっかくなので、国立国会図書館(NDL)が提供しているAPI*1を利用して、Twitterのトレンドに関係した資料を探してくるBotを作れないかな、と思いまして。

twitter.com

作ってみました。

 

要素としては、

TwitterAPIを使って、Twitterのトレンドを拾ってくる

→NDLのAPIで資料を探す

TwitterAPIでつぶやく

というようなコードを書いて、定期実行する、ということで良いのかな、と思っていたのが運の尽き。結構考えることが多かったです。

教訓としては、

・エラーメッセージを読むのは大切。

・ドキュメントは神。

 

1.トレンドを拾ってくる

トレンドを拾ってくる事自体は難しくありません。

Pythonで言えば、Twitter用のライブラリもいくつかあって、ぐぐるとたくさん記事が出てきます。

Python: Twitterにおけるトレンドを取得する - Fuwafuwa's memorandum

ただ、トレンドに入ってくる単語って、ハッシュタグ付きのわけわからない単文か、それだけではなんのことかわからないような固有名詞とかが多いんですね(今だと甲子園に出てる高校名とか)。

そうすると、それだけで、資料の検索をかけてもうまいものが出てこない、と。

結論から言うと

ハッシュタグは諦めた。

・単語については、Googleトレンドの関連語検索で情報を取ってきて、加えるようにしてみた。

という感じで、できる限り、今トレンドになってる言葉に近いものを拾ってくれないかな、と願っています(あと意外とトレンドに変動がない・・・)

Googleトレンドについては、以下参照。

Googleトレンドを使いこなそう その2 - Qiita

Pandasだなんだと次から次へデータ型を使わなきゃいけない・・・

 

2.NDLサーチにかける

国会図書館サーチね、たくさん横断検索かけられるのはいいのだけど、あまりにもかかりすぎるという欠点が・・・。

苦労したということでいうと辺戻りのXMLの読み方で、名前空間の概念がよくわかってなかった。

キーワードでなるべく絞ろう、というのは上で書いたとおりだけど、引っかかったものが近いのかどうかの判別はまだまだ未完成。今後用検討かなというところ。

反応が遅いのもあって、取得レコードを1点に制限しているのだけど、これを拡張して、トレンドの関連語と比較して点数つけたりするのだろうか。ちょっと気が遠くなってきた。

適切または意味ありげなデータを探してくるために、青空文庫新書マップを優先して検索しているのだけど、上に書いたようなキーワードの制約上、まだかかったことなし。

〇〇の日、というのから、「の日」を除いて検索かけるように調整してみたので、うまく行けばなにか出るかもしれない。

 

3.つぶやく(定期実行)

つぶやく自体はライブラリ使えばいいので、かんたん。

定期実行は、自分のPCをつけっぱにして回す方法と、サーバを使う方法がありそうだったけど、前者は電気代が死にそうなので、後者を。

Pythonで作ったTwitterのbotをHerokuで動かす - ひとメモ

などを参照して、Herokuにデプロイして動かしてみました。

gitも覚えないといけない。まぁ、こうやって一つなにか作っていくと、色々勉強の契機になっていいよね、という感じはします。

この点での要改善点で行くと、トレンドがあんまり変わらないことと関連して、過去ツイートとのかぶりの排除をどうしてくか、ということでしょうか。

別にファイルを持っておいて、比較したりするのがよいのかな。

 

今後の予定

・表示分の改善のための関数の微調整

・ニュースフィードから関連の資料を取ってくる(自然言語処理API?)

←トレンドってまじまじ見たことなかったけど、ほんとにほぼエンタメっぽいので、それ以外のバリエーションも紹介したいな、と。

 

ここをこうしたほうがいいよ、とか、諸先輩に教えていただけるとありがたいです。

どうぞよろしくおねがいします

ドイツ連邦司法庁、Facebookに過料 SNS法で初(メモ)

7月3日、ドイツの連邦司法庁は、ネットワーク法執行法(Netzwerkdurchsetzungsgesetz(NetzDG):いわゆるSNS法、SNS対策法、またはFacebook法とも)*1の規定への違反を理由に、米SNS大手Facebook*2に200万ユーロ(約2億4000万円)*3の過料を課すことを発表した*4。これは、SNS法下で初の過料決定となる。*5SNS法については、2018年1月の本格実施以降も、過料が課されてこなかったことから、実効性を疑問視する声もでていた。

 

過料は、法第2条に定められた報告義務への違反を理由とするものである。Facebookが、一般的な通報フォームと別に SNS法用の通報フォームを設けており、Facebookの報告では、後者のもののみを取り上げていることから、本来法の対象とされるべき申立全体がカバーされておらず(2018年7月期の報告では、TwitterYoutubeにおける申立コンテンツ数が20万件台だったのに対し、Facebookは1704件だった)*6、加えて、内容的にも十分なものとなっていない(訓練等に関する事項が含まれていない(2条2項4号)等)ことが指摘されている*7

 

Facebookは異議を申し立てることができ、最終的には裁判所に判断が委ねられることになる。

なお、違法コンテンツの取扱い(明確に違法なコンテンツの24時間以内の削除等)については、手続き整備上の不備がなければ違反とはならないとされているが、一部報道では、今後も更に過料が課される可能性を指摘するものがあり、今後の動向が注目される*8

 

*1:同法は、ドイツ国内で一定規模以上の利用登録者を有するSNS事業者に対して、違法情報への対応手続きの策定、半期ごとの報告の作成などを義務付けるもの。http://www.mediacom.keio.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2018/04/4338829378f9b93f524fb8aeb862933b.pdf

*2:対象は、アイルランド法人

*3:なお、この金額は、過料基準上、A事業者の軽度~中程度の違反時の基礎額に該当する 

https://www.bmjv.de/SharedDocs/Downloads/DE/Themen/Fokusthemen/NetzDG_Bu%C3%9Fgeldleitlinien_engl.pdf?__blob=publicationFile&v=2 事業者の規模等について實原隆志「ドイツの SNS 法―オーバーブロッキングの危険性について―」『情報法制研究』4 号, 2018.11, p.54<http://alis.or.jp/img/issn2432-9649_vol4_p046.pdf>

*4:Bundesamt für Justiz erlässt Bußgeldbescheid gegen Facebook https://www.bundesjustizamt.de/DE/Presse/Archiv/2019/20190702.html

*5:Umsetzung des NetzDG: Millionen-Bußgeld gegen Facebook | tagesschau.de

*6:この点については、報告公表時にも指摘があるNetzDG: So oft sperren Facebook, YouTube und Twitter - SPIEGEL ONLINE

*7:上掲連邦司法庁発表

*8:Mängel im Transparenzbericht: Millionenbußgeld gegen Facebook wegen NetzDG - Golem.de

白糸のこと

本郷三丁目の交差点から数十メートル。

赤い看板。

何でもない日に通った居酒屋だった。

焼き鳥の盛り合わせに、ニラ玉、たまに銀杏やエシャロット。


 思えば、20歳になってすぐの日も、この店の3階にいた。

半期の講義終わりの親睦会だっただろうか。

私の(交際)経験(がない)などといったたわいもない話をしたことが記憶に残っている。

 

「えいひれ」というものを知ったのも、この店だった。

7年ほど大学にいて、大学に住んでいるとうわさされた先輩が、頼んでいたのだ。

今でも、えいひれを食べるとこの店の雰囲気を思い出す。

 

授業であなたにとっての教育部*1とは、というお題が出れば、真っ先にこの場所に向かった。

 

就活の連絡待ちをしたこともあった。

電話がかかってきたと思ったら、別の居酒屋からの予約確認だった。

ケータイを投げ捨てようかと思ったが、ビールと一緒に涙をのみこんだ。

 

赤かぶも、チムニーも、さくら水産もなくなって、学生のころ歩いた街が変わっていっても、その店はそこにあった。

同窓会なんかの帰りに寄ると、2階のお姉さんが、嫌そうな顔をしながら接客をしてくれた。

そんなこの店も、ついに終わりの時を迎えた。

1月の終わり、店先に張り出された閉店のお知らせは、ネットをかけめぐった。

 

閉店を前にして、学生時代をともに過ごした、先輩、同級生、後輩(あと先生も)が、この店に集った。遠く北海道から来た人までいた。

あの頃と同じように、たわいもない話をして笑い、立場の違いを忘れて議論を交わした。先輩は今でも、えいひれを頼んでいた。

水と間違えて焼酎を飲んでいるうちにもうろうとしていった。

閉店の時間になって、本郷の交差点に出た時には、すっかり出来上がっていて、次の日に向けた後悔を始めながら、何もこんなところまで昔と同じでなくても、と成長しない自分を少し恨んだ。

顔をあげると、二次会に向かう先輩たち。見慣れた光景。この店が作り出してきた、こういう瞬間は二度と訪れないのかもしれない。そう思うと、こみ上げてくるものがあった。

 

f:id:filled-with-deities:20190309174729j:plain

 

さよなら白糸。ありがとう。

 

*1:所属していた副専攻のようなもの

往復方式と片道方式による答弁時間の違い―予算委員会における首相答弁を例に―

暇ですね。

暇なときには、Rとかをいじってみましょう。

ということで、練習問題として、国会会議録で何か分析ができないか考えてみました(簡単なものに限る)。*1

さて、国会の予算員会質疑では、持ち時間というのが決められています。

○○さんは何分以内、というような形で。

ところが、この持ち時間のカウントの仕方が、衆議院参議院では違うのです*2

衆議院は、往復方式、といいまして、質問した時間も答弁している時間もすべてカウントされます。

一方、参議院は、片道方式といって、質問をしている時間だけが算入されるのです。すると、衆議院では(厳しい質問を受けたくないとすれば)長めに答弁をすることで、時間を消費できる、というわけです。

実際、答弁回数の比較から「一回の質疑に対して、ある程度答弁を引き延ばして答えている衆議院と、必要最小限の短い答弁を行う参議院となっていることがうかがえる」とするものもあります*3

 

そこで今回は、2017年~2018年の予算委員会における安倍首相の答弁を対象にその文字数を分析してみることにしました。

安倍首相に限定したのは、時期によって答弁者が異なることによる影響を排除するためと、操作の簡便のためです(笑)。

もちろん文字数なので、時間数を正確に反映したものではありませんし、事後に書き言葉に修正されている点にも留意する必要があるでしょう*4

 

基本的な統計量を示すと以下のようになります。

首相答弁文字数
最小値 平均値 中央値 最大値 標準偏差 N
衆議院 11 424.2 362 2456 304.7 1479
参議院 8 351.7 289 2184 279.3 1623

 

また、ヒストグラムを重ね合わせてみると下図の通りです。

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安倍首相予算委員会における答弁の文字数分布

 上図表を見る限り、参議院の方が文字数が少ない傾向にありそうですね。

一応、ウィルコクスンの順位和検定*5をやってみると以下の結果。

Asymptotic Wilcoxon rank sum test

data: num_Lower and num_upper
W = 1380000, p-value = 5.38e-13
alternative hypothesis: true mu is not equal to 0

帰無仮説は棄却できそうですね。

 

というわけで、今回の結果としては、一応、参議院の方が答弁が短いものが多そう、という風に理解したいと思います。

初心者の手習いですので間違いがあればご指摘ください。

上記について私又は所属する組織の見解ではないということを念のため申し添えます。

 

参考:ワードクラウド衆議院)あんまりおもしろくなかった。

f:id:filled-with-deities:20181215002003p:plain

衆議院予算委員会首相答弁のワードクラウド

 

 

 

*1:会議録APIの操作についてはkaigirokuライブラリを使用させていただきました。ありがとうございました。amatsuo/kaigiroku: README.md

*2:2004-03-24 - 霞が関官僚日記

*3:木下健「過去 20 年間の衆参予算委員会における与野党対立構造の分析」『同志社政策科学研究』2012.9 https://doors.doshisha.ac.jp/duar/repository/ir/15533/019014010007.pdf

*4:会議録を用いた分析の限界については以下も参照。岡田洋平「日本語コーパスとしての「国会会議録検索システム検索用API」―計量的研究の精緻化・深化の可能性―」『新潟大学教育学部研究紀要 人文・社会科学編』2018 http://dspace.lib.niigata-u.ac.jp/dspace/bitstream/10191/50680/1/11

*5:ウィルコクソンの順位和検定

よだれ鶏(口水鸡)の怪

ある日のことである。

Wikipediaを見ていると、よだれ鶏の項目がたっていないことに気が付いた*1

いつも、Wikipediaにはお世話になっている私のことである。たまには、貢献できないかと思い、一路、味の素食の文化ライブラリー*2へと向かった。

 

甘く見ていた。

よだれ鶏といえば、今やすっかりメジャーなメニュー*3

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よだれ鶏(自作)

レシピブックなり、辞典類なりを当たれば、すぐに情報が出てくると思っていた。

しかし出てこない。

『中国料理大全』、『中国名菜集錦』、『中国料理百科事典』めくっていっても、よだれ鶏という言葉は出てこない*4

似た料理は、出てくるのだ。

棒棒鶏は横に置くとしても、椒麻鶏*5や怪味鶏*6は、かなり近い線をいっている。むしろ、これの別名なのでは?とも思うのだけれど、よだれ鶏に関連付ける記述が出なかった。

そこで、気分を変えて、百度百科を見てみると、重要なことがわかった。

郭沫若在所著《賟波曲》中,有:"少年时代在故乡四川吃的白砍鸡,白生生的肉块,红殷殷的油辣子海椒,现在想来还口水长流……。"烹调赐拈来"口水"两字,倒成就了大名鼎鼎的"口水鸡"。 (口水鸡_百度百科)

どうやら、郭沫若という文人が、『賟波曲』という著作の中で、少年時代故郷の四川で食べた鶏料理(白砍鸡)を思い出すとよだれ(口水)が出てくるというようなことを書いており、これが料理名のもととなった、ということなのである。

では、とにかく『賟波曲』を見てみようではないか…と思ったけれども、そういう名前の書籍が出てこない。あきらめずに、少し頭をひねっていると、郭沫若には、自伝集がある*7ことに気が付いた。そこに収載の「私の幼少年時代」を見てみると…ついに発見した。少年時代なのに、学校の門を抜け出して酒を飲んでいるところである。

私たちはその近所で白斬鶏(パイチャンチ)を買ってさかなにした。嘉定の町の白斬鶏はとくに有名だった。作り方は簡単で鶏を水に入れて丸煮にし、よく煮えてから肉をうすく切り、トウガラシ醤油を加えてかきまぜるのである…(中略)…まっ白の鶏肉、真っ赤なトウガラシ、濃厚な醤油、…こう書きながらも、つばが思わずわいてくる。

(小野忍・丸山昇訳『郭沫若自伝1』平凡社, 1967, p.68.)

まさによだれ鶏である。

そして、これが由来ということなれば、よだれ鶏=白斬鶏となる。条件は、鶏肉の薄切りにトウガラシ醤油。いや、椒麻鶏、怪味鶏のようなソースであっても構わないのではないか*8

よだれが出るのであれば。

 

Wikipediaに書き込めるようなことがなかったので憂さ晴らしに書いてみた。口水鶏という名前が使われるようになったのは、どうもここ数十年のことのようである。書物を探すのならば、近年のモノをあらわなければならない)

 

 

*1:四川料理 - Wikipedia

*2:食の文化ライブラリーは、味の素食の文化センター付設の食文化に関する専門図書館である。江戸、明治、戦前期のものを含む約40000冊を所蔵しており、誰でも利用できる。詳しくはリンク参照。味の素食の文化センター | 味の素 食の文化センター

*3:どうでもよいが、ジャスミンのがおいしいと聞いた。自分で作ったのしか食べたことないかも…JASIMINE(ジャスミン)広尾本店

*4:より正確には、一冊簡易な辞典で触れているものがあったが、ほんの一行程度の記述であった。

*5:ゆで鶏の山椒ソースがけ

*6:ゆで鶏の怪味ソースがけ

*7:洪波曲というものもその一部

*8:実質的にはソースの違いだけである

256手ルールをめぐる疑問―AIとルールの付き合い方

2017年11月12日に開催された第5回将棋電王トーナメント(主催:dwango公益社団法人日本将棋連盟*1決勝トーナメント第2回戦 shotgun対Yorkieは、257手目に詰みの局面を迎え、先手shotgunの勝利となった。

この局面で問題とされたのが、コンピュータ将棋界におけるいわゆる「256手ルール」である。256手ルールとは、256手を迎えた時点で勝敗がついていない場合には、当該対局を(原則として)引分にする、というものである。当該条項は運営上の都合による手数制限の一種である*2

ところが、当該対局においては257手目の局面が詰みであることを理由として、立会人(勝又清和六段)が先手の勝ちを裁定したことから、視聴者等を中心に批判があった。*3

とりわけ問題とされたのは、(1)前日には257手目に宣言勝ちの局面が現われたにもかかわらず、引分と裁定されていること、(2)負けとなったYorkieは256手で引分というルールに基づきプログラミングされており、より長手数となる手順があったにもかかわらずこれを選ばなかったこと、である。

AIとルールという問題を考えるにあたり示唆される点も少なくないと考え、考えたことをメモしておく次第である。

以下、

 

の3点を論じる。

 

1.判断の時点

当該条項の記述は以下のとおりである。

 

(引き分けの判定)第22条 予選リーグ、決勝トーナメント共に、256 手を超えて、対局が続く場合、立会人がどちらのソフトの負けとも判定せず、千日手でもないときは、その対局を引き分けとする。

*4

 

これは、WCSC27回大会の以下のルール*5をモデルとしていると考えられる。

 手数が256手に達し、審判がどちらのプログラムの負けとも判定せず、千日手でもないときは、引き分けとする。なお、256手目をもって先手プログラムが本条第1項第一号に定める局面になった場合は先手プログラムの負けとする。

 ここで、WCSC27ルールでは、第2文から256手指し終わり時点で判断を行うことは明らかである(2016年12月の改訂で付け加えられた)。

また、電王トーナメントルールについても、(「引き分けとすることができる」ではなく)「256手を超えて、対局が続く場合…引き分けとする」とあることから、ある一時点において判断を行うことは明らかである。また、その時点は、(1)参考としたルール、(2)(「257手以上」ではなく)「超えた」という表記、(3)257手まで指されるとすると先手の有利が拡大する、といった観点から256手指し終わり時点とするのが相当であるように思われる。(256手を超えて、という表記がある以上255手以下や、258手に至ってからの判断とは考えにくい)

この対局の場合、大勢は決しており、確かに257手目で詰みの状態に至ったが、1手詰を発見できない場合も可能性としてはありうる(羽生棋聖も一手詰のところに逃げたことがあるし、コンピュータ将棋が明確な詰みを逃すケースも散見される)。

ここでは、257手目以降の情報は考慮に入れず、256手目時点をもとに判断すべきではなかったか。

 

2.立会人の権限

立会人は裁定の権限として当該条項における「立会人がどちらのソフトの負けとも判定せず」をあげる。しかし、第23条において、立会人による勝敗判定が規定されていることに鑑みれば、当該条項が新たに無条件の裁定権を与えたものとは考えにくい。

23条は以下の通り定める。

(立会人による勝敗判定)
第 23 条
次の各号に掲げる場合、立会人はそのソフトの負けと判定する。ただし、同時に両者がこの条件を満たした場合はその限りではない。
一 将棋のルールに則った指し手が存在しない局面になった場合。
二 累積消費時間が指定された持ち時間に達した場合。
三 ルール上指せない手を指した場合。
四 相手が正当な入玉宣言を行った場合。
五 正当でない入玉宣言を行った場合。
六 LAN 対戦において、CSA サーバプロトコル ver.1.1.3 に規定されない通信を行い問題が発生した場合。
七 5 手目思考開始後、ソフトの終了等により指し手の入出力が不可能となった場合。
ただし、原因が主催者側にある場合はその限りではない。
八 中断後、立会人が指定した局面・手番・消費時間からの再開がスムーズにできない場合。
九 本規程で禁止される行為を行ったと立会人が判定した場合。
通信ケーブルや電源切断等の事故、あるいは対戦サーバの不具合により中断した場合は、立会人が勝敗・引き分け・再戦・途中局面からの再開等の扱いを決定する。
本大会の進行上問題が生じた場合、対戦の途中であっても、立会人が勝敗(引き分けを含む)を決定することがある。
その他、トラブルがあった場合は、立会人が勝敗・引き分け・再戦・途中局面からの再開等の扱いを決定する。

当該対局は、(少なくとも256手時点で)1号から9号には該当しない。

問題となるのは「進行上問題」と「トラブル」条項である。

しかしながら、当該条項は不測の事態を想定したものであろう。であれば、256手ルールを明文で定めている以上、この規定を適用することは許されないと考えられる。

よって、裁定はその権限の上でも、疑問がある。

(ただし、そもそもルールの変更を含めた権限は主催者側にあり、判断自体を否定することはできない)

 

3.今後のルールに向けて

 プログラムは、事前に設定されたルールに基づき設計される。

自動運転車において「トロッコ問題」がクローズアップされるゆえんである。

今回の問題は、事前のルールに対する解釈が、主催者側(257手目以降も続くことがある)、参加者(256手で引分)で異なったことに第一の原因がある。ルールの明確性(立会人の権限も含む)*6やそれに対する合意が必要であるように思われる。

次に、手数として相当か、という問題である。近年のコンピュータ将棋は長手数化の傾向があるといわれ、256手が稀な事例ではなくなってきている。その中で、これを引分の基準とすることを是とできるか(ゲームの質が変わるのではないか)。

最後に(特にトーナメント形式の決勝において)時間節約の手段として適切か、という問題である。元々、運営上の都合(時間節約)で作られたルールであるが、指しつげば終わっている対局のために、再戦する必要が生じる可能性がある。別のルール(切れ負け、相入玉時の特別規定、暫定球的同時対局など)を設けることも考えられるのではないか。

以上の三点は、(1)明確なルールへの合意、(2)プログラムによる常識の変更、(3)ルールの本質への回帰、とまとめられるが、これは将棋プログラムに留まらない点のように感じられた。

人間を超えてまだまだ成長し続ける将棋プログラム。いつも楽しませていただいているけれども、今後一層の発展を期待したい。

*1:第5回 将棋電王トーナメント | ニコニコ動画

*2:世界コンピュータ将棋選手権(WCSC)に関する滝澤武信氏の記述による。電王トーナメントのルールは、WCSCのルールを参考にして作られている

*3:なお、shotgun作者は再戦を主張した。256手ルールが前大会から改変されていた件 | やねうら王 公式サイト

*4:http://denou.jp/tournament2017/img/rule/denou_tournament_rule2017.pdf

*5:http://www2.computer-shogi.org/wcsc27/rule.pdf

*6:正直言ってルールが曖昧で読みにくい部分がある

2017年 流行語大賞トップテン予想

久しぶりですが、流行語大賞ノミネートが出たようなので

流行語大賞評論家の端くれとして、トップテンと受賞者を予想しようと思います。

◎、○、△は順に対象の本命、対抗、穴、です。

(カッコ内は受賞者)

 

◎35億(ブルゾンちえみ氏)

○ひふみん(加藤一二三九段)

△9.98(10秒の壁)(桐生選手)

・インスタ映え(MOYA氏(カリスマインスタグラマー))

・ユーチューバー(ヒカキン氏(ユーチューバー))

フェイクニュース(平和博氏)

・睡眠負債(NHK取材班)

けものフレンズたつき監督)

・ワンオペ育児(藤田結子明治大学教授)

・忖度()

 

講評

分野別で考えてみると、政治・社会関係が多い。

今までの傾向を見ると、

・芸能

・スポーツ

・社会(IT)

・政治

・学術(メディアを通じた流行含む)

といったいくつかの分野ごとに複数個ずつ選ばれるものと考えられる。

 

この中で、スポーツは、9.98の一択。

近年スポーツ選手の大賞受賞が多いが、穴に留めた。

 

IT・社会では、インスタ、ユーチューバーが強そうだが、SNSかぶるか。

なんとか総研の人が受賞者となることも考えられるが、

ここは、一般人のカリスマを推したい(二人ともググった)。

社会現象として、ポスト真実フェイクニュースは入りそう。

受賞者が難しいが、個人的には平和博氏を推したい。

(GoHooの楊井人文氏、法政大学の藤代氏などもいるか)

働き方改革は、受賞者を想定すると悲しい気分になるので、外した。

ほかにはプレミアムフライデーあたりか。

 

睡眠負債、ワンオペ育児あたりはなんとなく感性。

学術要素がありつつ、昨今の風潮・社会問題を表現しているように感じられる。

上の働き方改革、プレミアムフライデーあたりのほか、うつぬけと入れ替わりそうな感じもある。

 

芸能関係では、お笑い物とそれ以外がある。

35億と空前絶後は迷ったが、周辺でよく聞くのは前者。

今年は将棋ブームが印象的だったこともあり、一語は入りそう。

大賞狙いでは顔のある言葉が強そうなので、「ひふみん」を推した。

けものフレンズは願望交じりである(見てない)。

 

難しいのは政治もので、読みにくい。

メディア的な流行という意味では、忖度、ちがうだろー、アウフヘーベンあたりか。

マイナス語が多く、受賞者選びも難しいか、ということで下位に入れた。

 

上三つあたりは、トップテンには入りそうだけど、

正直全く予想に自信がない

15年の時の予想はこちら。ノミネートが減ったり、かぶり語があるの見ると、

選定に苦労がうかがえますね。

流行語大賞を予想してみた。 - 読書は人間の夢を見るか