読書は人間の夢を見るか

平々凡々な社会人の読書と考えたこと。本文・写真についてはCC-BY-SA。当然ながら引用部分等の著作権は原文著者に属します。

0.はじめに

まず、漫画からいきましょう。 はい、『3月のライオン』です。 『ハチミツとクローバー』の大ヒットで知られる羽海野チカさんの作品。 幼い時に両親を亡くした17歳の将棋棋士・桐山零の物語です。 人間としての将棋棋士の魅力、人間関係の難しさ、勝負の世…

すごく適当な将棋観戦ガイド(1) #ss954

はじめに言っておきたいのですが、私は将棋が弱いですw 子どものころ、父にボロクソに負かされ続けたのを覚えています。 高校生の時に少し勉強しましたが、それ以降、将棋からは遠い日々を送っていました。 2年前、父のリハビリを兼ねて将棋を再開し、電王…

レビューまとめ

ソチオリンピックにかかりきりですが、最近書いたレビューをまとめてみます。 今回は、 佐藤朋彦『数字を追うな 統計を読め』 竹田いさみ『世界を動かす海賊』 太田和彦『居酒屋の流儀 (黄金の濡れ落葉講座)』 井庭崇『社会システム理論: 不透明な社会を捉え…

今週書いたレビューまとめ(1月5-12日)

読んだ本を記憶に留めておくためにも、レビューを書きたいという気持ちはあるのですが、単独でレビューを書こうと思うと、長く書かなくちゃと思ってなかなか筆が進みません。 そこで、Amazonに(短めの)レビューを書いてそれをBlogにまとめてみるということ…

公共マナーはもはや鉄板の炎上ネタということでもあり、特につっこまないことにしている。

というより、最終的には「程度問題」と「思いやり」みたいな結論に落ち着くので、書いてもあまり実のあることにはならないように思っている。 ただ、以下のエントリを読んで、身近な経験を思い出したので、少し書いてみる。 本山勝寛 「堀江氏のツイート炎上…

「世界」のすべてを載せた詩があるとしたら −「病気」とはなにか

(Booklogからの転載)はじめに、家族という立場にあるものからのレビューであることをお許しいただきたい。 本が手元に届いてからも、私はなかなか本を開く気になれなかった。 怖かったのだ。 父の、つまりはこの本の筆者の状態はもちろん百%ではない。 ペ…

ハゲを愛する人のためのブックガイドーハゲを取り巻く世界

寒い季節になって来ました。 ええ、いよいよ寒いです。 個人的にはマンチェスターユナイテッドがCL決勝トーナメントに進めなかったのは、ルーニーが植毛なんてふざけたことをしたからだと思っています。 最近いよいよヤバくなってきたから、 ということでは…

"水平的な"キュレーション

一冊簡単な本を読んで読書会をしようという話になり、キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)作者: 佐々木俊尚出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2011/02/09メディア: 新書購入: 57人 クリック: 2,260回この商品を含むブログ (20…

帝都復興院について

大震災が日本をおそって早2週間が経とうとしています。 復興に向けた作業も本格化し、なかでは「復興庁」創設へ向けた動きも見られます。 そのモデルとなったのが、帝都復興院です。 今回は、その帝都復興院について、背景や概要などをまとめてみたいと思い…

インターネットの革命と反革命 ipad/電子出版/フリーの終焉(下)

境さんの本も7割がた読み終わったのでホントは読み終わってから書くべきかもしれませんが、まぁ、サクっとまとめちゃいますね。 AppleやAmazon(あるいはGoogle?)といった私企業が情報のでもとを独占してしまうことで、 彼らに大きなコントローラビリティ…

インターネットの革命と反革命 ipad/電子出版/フリーの終焉(上)

ジャーナリストの昼間たかしさんが『Kindleショック インタークラウド時代の夜明け』の著者・境真良さんを迎えて、電子書籍やコンテンツ産業のこれからについてのトークイベントが行われました。 詳しくはUSTream*1に上がっていますし、この界隈の人はだれか…

長らくご無沙汰しています。

新しい環境に馴染むのに精一杯、というか、 まとまった時間を使っていろいろ考えるということがどうしても難しかったもので。 新しい企画を始めてみようと思います。 ニュースの記事などをざっと概観してわかった気分になろう、という企画です。 第一回の今…

世界のGoogle化・・・それでも

1月30日に、日本学術会議講堂で行われた、日本学術会議シンポジウム「世界のグーグル化とメディア文化財の公共的保存・活用」に参加してきた。詳細なレポートについては、kyokashow さんのエントリー「「世界のグーグル化とメディア文化財の公共的保存・活用…

調べることと創造すること

日本の教育は詰め込み学習だ。 次世代に生きるものには新しいものを作り出す能力が必要だ。 などと言われて久しいように思う。 それに対応した「ゆとり教育」などはポシャって行った。 そうした中で、私が有効だと思うのは、「調べ学習」のようなものだ。 「…

「健康農場」

先日、以下のようなニュースが報じられた。 酒の安売り・飲み放題はダメ…WHOが指針案 【ジュネーブ=平本秀樹】世界保健機関(WHO)の執行理事会(日本など34か国で構成)は22日、酒の安売りや「飲み放題」の規制など、過度な飲酒を減らすための指…

犬死に大国、ニッポン 〜ハンセン病と薬害エイズの記憶を語り継ぐために〜

来る2010年1月17日に、下記のようなイベントを開催する運びとなりました。 ハンセン病や薬害エイズ、近くて遠く、遠くて近い問題だと思います。 しかし、このイベントはその二つの問題にとどまるものではないと思います。 この二つの事例は、様々な社会問題…

闘いとしての政治/信念としての政治【後篇】

昨日に引き続き簡単なまとめです。 セッション2は「社会と正義」をテーマにして行われました。 しかし、20時30分終了の予定がこれが始まる時点でもう20時15分くらいな状態。 スピーディーな進行になりました。 北田先生から前説。 オウム事件の時(野中は官…

闘いとしての政治/信念としての政治

以下のようなイベントに行ってきたので簡単にレポートしたいと思います。本当に簡単に。 詳細は毎日新聞1月の紙面に記事が載るらしいですし、たぶん『思想地図』あたりにも出ると思われます。 シンポジウム「闘いとしての政治/信念としての政治」元自由民主…

昨日、次のような報道がされました。 国会図書館:パンク寸前…新刊急増、本のサイズも大型化 国内で出版されるすべての本を保管している国立国会図書館(東京都千代田区)の収容スペースが限界に近づいている。出版点数の激増とサイズの大きな本が増える傾向…

メディアとしてのGoogle Wave

つい最近、Google Waveってやつの招待を受けていろいろ使ってみているので、 使用感を書いてみたいと思います。 ただ、当方技術はあまり持ち合わせていないので、技術的なことはわかりません(すごいなーとは思うけどね。) よって、メディアとしてどういう…

ノーベル賞受賞者・フィールズ賞受賞者、「事業仕分けに対する緊急声明」について

本日、ノーベル賞・フィールズ賞受賞者が集まり、以下のような声明文を出すと共に、科学技術予算をめぐる緊急討論会*1が開かれました。思うところがありますので、Blogを更新します。 ノーベル賞受賞者・フィールズ賞受賞者、「事業仕分けに対する緊急声明」…

合コンとは何か

卒論シーズンですね。 まったく、卒論は進んでいません。 うちの大学のうちのコース(社会学)だと、自分の好きな分野をテーマにして卒論を書く人がほとんどです。 アニメとか、ゲームとか、もちろん環境問題とかコミュニケーションとか。 そういう意味では…

誤報とは何か 誤報言説をたどって

1.はじめに 誤報とはなんだろうか、と聞けば、「事実とは違う報道」という答えが返ってくるのが一般的だろう。 しかし、もう少し良く考えてみると、私たちがそれほど簡単に「誤報」を識別しているわけではないということに気づく。 にもかかわらず、私たち…

大学生活も(少なくとも学部生活は・・・卒業できればだけど)あと半年。 大学で学んだこと、いや、学べることってなんだったのかな、とたまに思うことがあります。 そりゃ、「大学時代に」学んだことなら、たくさんあると思います。 特に僕は幼稚園から高校…

秒速5センチとメディア論

秒速5センチメートル [Blu-ray]posted with amazlet at 09.10.18ビデオメーカー (2008-04-18)売り上げランキング: 787Amazon.co.jp で詳細を見る を見た。 第一印象は絵がきれいだと言うこと。 新海作品は昔「ほしのこえ」を荒い画質で見たのだけれど、 それ…

「綴じられている」意義とウェーバー

書物は危機にひんしているという。 より便利な情報ツールとしてのコンピュータがあらわれ、 それはインターネットを介して、世界中の知へと接続されている。 速報性、情報の多様性、さまざまな点からその優位さを指摘される。 書物の側は、一覧性、などとか…

「広告である」とはどういうことか

昔、吉見先生がこういうことを言っていた。 「大学院に来る人間の中で、理論から入れる人は4人に1人くらいだ。ほかは皆対象にこだわるべき。北田先生なんかは理論から入っていたがああいうのは特殊な例」 広告の誕生―近代メディア文化の歴史社会学 (岩波現代…

なぜ資本主義は成長を志向するか。

mixiの社会学コミュニティでこんなトピックスがたっていました。 [質問]なぜ企業は成長を続けないといけないのでしょうか? http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=43161261&comment_count=14&comm_id=8396 ウェーバーのプロ倫に言及しながら、現在ではプロテスタ…

ハゲの社会学を目指して

またまたお久しぶりです。 私は、社会学を専攻しようと決めたとき、 「ハゲの社会学」をやろうと思っていました。 私の家系が曾祖父までさかのぼって全員ハゲというサラブレッド的な家系にある、という 個人的な事情から出発したのですが、考えてみると面白い…

こんばんは。お久しぶりです。

あまりに久しぶりすぎて・・・。 更新しようにもあんまりネタがないんですが、 私の一応の専門である社会学、がどういったものなのか、 について考察したので、お目汚しですがどうぞ。 第一節では、学史的な流れを見つつ、その問いの意味について考えます。 …