読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

読書は人間の夢を見るか

平々凡々な社会人の読書と考えたこと。本文・写真についてはCC-BY-SA。当然ながら引用部分等の著作権は原文著者に属します。

調べることと創造すること

日本の教育は詰め込み学習だ。
次世代に生きるものには新しいものを作り出す能力が必要だ。
などと言われて久しいように思う。


それに対応した「ゆとり教育」などはポシャって行った。
そうした中で、私が有効だと思うのは、「調べ学習」のようなものだ。
「調べる」ことはすなわち「問いを立てる」ことでもある。
これをできずに何でもかんでも調べてしまったり、逆に何も調べられない人*1は、意外と多い。


以前聞いた話に以下のようなものがある。
夏休み終盤になると、公共図書館は小学生で溢れ返る。
宿題をこなしていくためだ。
レファレンスにもそうした関連のものが多く舞い込んでくる。そのひとつ。
「米」
そうとだけいって立っている少年。何を聞き返しても
「米」とだけ答えるのだという。
おそらく「お米について調べてきて」という課題が出たのだろう。
もちろん、「米」とだけ言われたのでは、何もいいようがない。
この場合には漠然とした問いのみを提示して、問いの立て方も教えなかった教師の側にも問題はあるが、何かを調べる際に問いを立てることができない、という事例はこれ以外にも多く聞く。
また、小学校、中学校レベルの調べ学習では、「〜〜について」という漠然としたテーマに対して、広範にわたって調べた方が良い評価を与えられる、という事も少なくないだろう。


これはなんの応用もきかない。
調べ学習の意味とは、もちろん、調べるスキル、いわゆる情報リテラシー、を身につけることにもあるだろうが、それ以上に「問いを立てること」にあるように思う。
そのことを実感させてくれるのが、

図書館のプロが教える“調べるコツ”―誰でも使えるレファレンス・サービス事例集
浅野 高史 かながわレファレンス探検隊
柏書房
売り上げランキング: 82320
である。


本書は図書館レファレンスの事例集として、
図書館員や学生に向けて「図書館における調べ物の仕方」を示している。
架空の図書館を舞台に、キャラクターが動き回りながら調査の手順を見せてくれるので
非常にわかりやすく、また一つ一つの調査テーマも面白い。
なにより、どうやって調べるかには必ず「何を調べるか」ということが先行していることを見せつけてくれる。


「何を調べるか」について考えぬくことこそ、「調べ学習」の大きな意義であるはずであり、
そして、それは新たなものを創造することへとつながっていくはずである。

*1:小学生から大人まで