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読書は人間の夢を見るか

平々凡々な社会人の読書と考えたこと。本文・写真についてはCC-BY-SA。当然ながら引用部分等の著作権は原文著者に属します。

図書館は死につつあるなんて誰が言った?イノベーションのための空間へと進化する図書館

Who says libraries are dying? They are evolving into spaces for innovation

Crystle Martin, University of California, Irvine

※本稿は、The Conversationに掲載された"Who says libraries are dying? They are evolving into spaces for innovation"の全訳です。著者であるCrystle Martin氏の許可を得て翻訳しました*1

 

デジタルメディアの拡大、電子書籍の勃興と予算の大規模な削減に伴い、図書館の終焉がこれまでに何度も 予告されてきました。

図書館の予算は削減され、開館時間や分館の閉鎖を引き起こしていることは事実であるけれども、正確に言わせてもらえば、図書館は死に絶えつつあるわけではありません。実際には図書館は進化しているのです。

学校外での空間における青少年の学習の研究者として、私は青少年のオンラインでの情報行動を研究してきました。私は目下、図書館員がどのようにして10代の学習を助け、初学者にプログラミングを教えているのか、について研究しています。

では、図書館はどう変わっているのでしょう?そしてその未来は?

変化を生み出す

伝統的に、図書館は、書籍への費用負担の生じないアクセスと読書のための静かな場所を提供してきました。

しかし、今、多くの公共図書館は、新しい役割を担うようになりつつあります。テクノロジー、キャリア、大学進学への準備、そしてまたイノベーションや企業、現代の経済で成功するために必要な全ての21世紀的なスキルに対して、プログラムを提供しているのです。

この国中で起こっている変化についていくつかの事例を見てみましょう。

2014年、サンディエゴ中央公共図書館は、IDEA ラボを開設しました。そこでは、生徒たちが、新しい技術を仲間のサポートを受けながら発見し、学習することができます。

ラボは、その関心に沿った様々なトピックスに関するワークショップを開催するために10代のインターンを雇っています。そのトピックスはフォトショップからストップモーションのアニメーション、そして、テクノロジー関係の技術を高めるプロジェクトにまで及びます。

インターンは、学校から、主にアフリカ系アメリカ人やラテン系の生徒がやってきて、司書と共にそのキャリアの目標に関連した経験を得られる活動を計画します。

 

Libraries are becoming spaces for collaborative learning. Jisc infoNet, CC BY-NC-ND

 

同様に、2015年の早い時期には、ノースカロライナ州のシャーロット・メックレンバーグ図書館は、 Idea Boxと呼ばれる「メーカースペース」を設置しました。その場所には、青少年が、3Dモデリングや3Dプリント、ニットのやり方やプログラミングについて学ぶために招待されます。これは、青少年に対して学習の機会を与え、STEAM (科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Arts)、数学(Mathematics))関連のキャリアへの関心を高めます。

シアトル公共図書館が2014年に始めたシアトル若年層雇用プログラムとの提携を他の例として挙げることもできます。彼らは共同で、デジタルリテラシー情報リテラシースキル向上のためのカリキュラムをデザインしています。

個別の図書館の取組の一方で既に、YALSA(Young Adult Library Services Association: ヤングアダルト図書館サービス協会。10代への図書館サービスの強化を行う)のような全国組織も図書館の専門性の範囲について、その見方を変え始めています。最近のレポートは、若者がキャリアパスを探し求め、発展させていくにあたっての図書館職員のサポートの役割の変化にフォーカス をあてたものとなっています。

ホームレスのための図書館

これがすべてではありません。図書館は、その伝統的な役割を超えて拡大し、コミュニティのより深いところまで届くようになっています。

2014年の春以降、ブルックリン公共図書館は、 服役中の両親と共に本を読む機会を子供に与えてるプログラムやホームレスの人々のための「ポップアップ図書館」*2のようなプログラムの提供に焦点を当てた「移行のためのサービス(transitional services)」*3、を実施してきています。

諸機関は、予算カットの憂き目にあいながらも、コミュニティへの奉仕の要素を維持するために努力しています。例えば、デトロイト公共図書館は、経済不況の間その予算を大きく削らざるを得ず、開館時間は週に40時間にまで削減されましたが、コミュニティに最高のサービスを提供するために、夕方と週の開館時間を最大化するようにスケジュールを作り直しました。

未来はサービスにあり

21世紀の図書館は、書籍に関係した部分は少なくなり、図書館職員がそのコミュニティに提供するサービスに重点が置かれるようになっていきます。

未来の図書館センターのミゲル・フィゲロア氏が、このように見事に要約して見せてくれました。

未来の図書館は、それが物理的な空間であれ、電子リソースであれ、一緒に何かに取組み、新しい何かを生み出し、新たな人々と出会い、そして、あなたと他の人が持ち寄ったものをシェアする場所になれるはずだ。対等なもの同士で、実践的に、コミュニティに根差して、そして、創造性に重きを置いたものになるでしょう。

The Conversation

Crystle Martin, Postdoctoral Researcher , University of California, Irvine

This article was originally published on The Conversation. Read the original article.

*1:原文はCC-BY-NDで公開されています。以下注は訳者によります

*2:街中図書館のようなものかと思われます。

*3:ブルックリン公共図書館のサイトを見ると、"people transitioning in and out of correctional and shelter systems"という文がありますので、矯正施設等から社会への「移行」(橋渡し)を指すものと理解しました。

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