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ドイツ連邦司法庁、Facebookに過料 SNS法で初(メモ)

7月3日、ドイツの連邦司法庁は、ネットワーク法執行法(Netzwerkdurchsetzungsgesetz(NetzDG):いわゆるSNS法、SNS対策法、またはFacebook法とも)*1の規定への違反を理由に、米SNS大手Facebook*2に200万ユーロ(約2億4000万円)*3の過料を課すことを発表した*4。これは、SNS法下で初の過料決定となる。*5SNS法については、2018年1月の本格実施以降も、過料が課されてこなかったことから、実効性を疑問視する声もでていた。

 

過料は、法第2条に定められた報告義務への違反を理由とするものである。Facebookが、一般的な通報フォームと別に SNS法用の通報フォームを設けており、Facebookの報告では、後者のもののみを取り上げていることから、本来法の対象とされるべき申立全体がカバーされておらず(2018年7月期の報告では、TwitterYoutubeにおける申立コンテンツ数が20万件台だったのに対し、Facebookは1704件だった)*6、加えて、内容的にも十分なものとなっていない(訓練等に関する事項が含まれていない(2条2項4号)等)ことが指摘されている*7

 

Facebookは異議を申し立てることができ、最終的には裁判所に判断が委ねられることになる。

なお、違法コンテンツの取扱い(明確に違法なコンテンツの24時間以内の削除等)については、手続き整備上の不備がなければ違反とはならないとされているが、一部報道では、今後も更に過料が課される可能性を指摘するものがあり、今後の動向が注目される*8

 

*1:同法は、ドイツ国内で一定規模以上の利用登録者を有するSNS事業者に対して、違法情報への対応手続きの策定、半期ごとの報告の作成などを義務付けるもの。http://www.mediacom.keio.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2018/04/4338829378f9b93f524fb8aeb862933b.pdf

*2:対象は、アイルランド法人

*3:なお、この金額は、過料基準上、A事業者の軽度~中程度の違反時の基礎額に該当する 

https://www.bmjv.de/SharedDocs/Downloads/DE/Themen/Fokusthemen/NetzDG_Bu%C3%9Fgeldleitlinien_engl.pdf?__blob=publicationFile&v=2 事業者の規模等について實原隆志「ドイツの SNS 法―オーバーブロッキングの危険性について―」『情報法制研究』4 号, 2018.11, p.54<http://alis.or.jp/img/issn2432-9649_vol4_p046.pdf>

*4:Bundesamt für Justiz erlässt Bußgeldbescheid gegen Facebook https://www.bundesjustizamt.de/DE/Presse/Archiv/2019/20190702.html

*5:Umsetzung des NetzDG: Millionen-Bußgeld gegen Facebook | tagesschau.de

*6:この点については、報告公表時にも指摘があるNetzDG: So oft sperren Facebook, YouTube und Twitter - SPIEGEL ONLINE

*7:上掲連邦司法庁発表

*8:Mängel im Transparenzbericht: Millionenbußgeld gegen Facebook wegen NetzDG - Golem.de