解説と批評の果てに
批評*1は新たな創作であるとはしばしば言われることです。
作品という「芯」から紐を引っ張ってぐるぐると巻きつけていく。
それは、まさに創作的な営為といえるでしょう。
学問も、まあ、近い部分がありますよね。
その対象と基準が「しばしば」異なるというだけのことで。
それに対して解説は作品にもぐっていくということでしょう。
一つ一つの語義を確認し、どういった思いを伝えているのか。
作者の追体験を可能とする作業です。
まぁ、この二つが厳密に分けられるわけでもないですが。
あくまで語義的に言って、ということです。
ブックガイド、というとなんとなくそのうわべをなでたような解説をしてしまう。
しかし、この本は、もう縦横無尽。30冊の本をネタにしながら、しゃべりたいことをしゃべっています。その上でそれなりに解説をしているというね。この読書日記のお手本になりそうな本であります。
まぁ、なんでハーバーマスは取り上げられてルーマンは、とか
パーソンズは?マートンは?、とか
いろいろあるとは思いますが、あくまで「この人の」選んだ、ということでね。
あとまぁ、強引な解説(というか注釈)が目立つ場面もあります。
批判的に読めばすぐ穴は見つかるかな。
ならべてみると、社会学というのがいかに「近代」に根ざした学問なのかがよくわかります。
そして、それが現状の肯定につながりがちなことも。
機能主義にしても、社会関係資本論にしても現状からの変化にとぼしい。
こうして、並べてみること自体に意味があるのだと思う。
下手に、社会学概説をされて、幕の内弁当をみせられるよりは。
ここにのってる本くらいは読んでから卒業しようかな。
目を通した覚えがあるのは6さつだけw
*1:良いところを評価し、悪いところを批判する。