wikipediaは民主主義の敵か
どうも。
自主ゼミを大学のほうで開講しているのですが
本日前期最後で、キャス・サンスティーンの有名なこの本について発表しました。
荻上チキさんがウェブ炎上について論じるときに引いていたりする本ですね。
インターネット第一世代の議論があまりに希望に満ち溢れているのに対してこの本で、彼は、インターネットを批判的に見ます。
今から見ると議論が古い、ということはあるにしても、着目点はすばらしいように思いました。
超有名な議論は「集団分極化」・「サイバーカスケード」などでしょうか。
ぐぐると英語版は少し読めるはずです。
ようは、インターネット上での議論は未知{異なる意見}との遭遇や、共通体験を奪い、議論が極端に走る傾向があるので民主主義にとって潜在的なリスクとなりうるというお話。
また、特殊な信条をもった少数派もネット上ではグループを構成しやすい、と。
こんにちではある程度常識となりつつありますが、
理想に燃えるインターネット主義者を批判するというのは大切な営みですw
同時に彼は、インターネット排斥論者ではないというところに理性を感じます。
さて、僕がこの本を読んで感じたのは2点。
1.日本でのネット空間の捉えられ方と少し違うな、と。
ネットの若者はという議論のされ方を{少なくとも日常的には)する日本に対し、彼は、ネット上の小集団を想定するわけです。
そちらのほうが実感には近いし、より精緻なモデルが作れるかなという感じです。
2.wikipediaは民主主義的な討論ツールになりうるのではないか。
wikipediaは論争のツールではなく、「真実」を記す事典です。
しかし、であるがゆえに異なった意見を持つ人間が集まり、議論を交わします。しかも案外まじめに。
シリアスな議題になると単純に編集合戦になることもあるかと思いますが、基本的には討議がおこなわれます。
実証はしていないですが、wikipediaにはエンクレーブから脱した「公開フォーラム」的な議論を可能にするという潜在的順機能があるのではないかと思うのです。
以上つたないですがメモ書き程度に。