読書は人間の夢を見るか

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ゴースト/ほしのこえ:コミュニケーションの距離について

メディアの高速化・広域化ということが言われる。
しようと思えば地球の裏側にいる人間ともほぼタイムラグなしに
会話をすることができる。
日本では1億台以上のケータイ電話が出まわり、
ほぼ常時「つながり」続けることができる。


こうした時代において、コミュニケーションの「距離感」が
意識されることはそれほど多くない。
コミュニケーションの不可能性ということに言及されたとしても
学術的な場面が多いことだろう。
そうしたなかで、恋人たちの距離感を描くことが作品において難しくなっているのでは?という話を以前していた。


今回『ゴースト』という作品をみて『ほしのこえ』を思い出した。

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ストーリーはいたって単純だ。
突発的な「事故」で死んでしまった主人公が
いきている人間には見えないし、聞こえないゴーストとなって
結婚まで考えた恋人に言えなかった「愛している」を伝える。という。


私は実は本筋と同様に、この映画のB級っぷりが好きだったりするのだがw恋人に伝えたくても伝えられない、触れたくても触れられないそうした状況をうまいこと、愛情を見せつつ描いていると感じた。


それとは違う形で、「伝わらない」を描くのは「ほしのこえ」。
ほうぼうで取り上げられる有名な作品。
彼女のほうが国連軍のパイロットになって、宇宙に戦いに行く。
絶対的な距離によって、メールすら届くのが遅くなる。
それが単にせつない。
昔見た印象ではそんな感じ。


なんだかんだいって、近くにいたところでつたわらねぇ、と思うときは多々ある。
テレパシー使ってるわけでもないし、育ってきた環境も違うから。
その「伝わらない思い」をどういうかたちで作品にするのか。
それを考えたときに子の二つの作品は似ているし、優れているともおもった。
正直、ストーリーみえみえだったりなんだりあるけど。
売れたのはうなずけるなぁ、と。


どうやったら描けるかなぁ。コミュニケーション。