読書は人間の夢を見るか

平々凡々な社会人の読書と考えたこと。本文・写真についてはCC-BY-SA。当然ながら引用部分等の著作権は原文著者に属します。

インターネットの革命と反革命 ipad/電子出版/フリーの終焉(上)

ジャーナリストの昼間たかしさんが『Kindleショック インタークラウド時代の夜明け』の著者・境真良さんを迎えて、電子書籍コンテンツ産業のこれからについてのトークイベントが行われました。
詳しくはUSTream*1に上がっていますし、この界隈の人はだれかしらまとめると思うのでw、#でコメントを入れながら割と自分の厚い部分だけ切り取りつつまとめていきたいと思います。


最初は『Kindleショック インタークラウド時代の夜明け』についてのおはなしから始まりました。
インタークラウドというものが出始めているのをみて、これがユーザーの需要にはこたえるものの、これまであったインターネットのバランスを崩していく、状況が変わっていくと感じたことがこの本の始まりとなったようです。
では、このなかでよく使われる単語「デバイス=クラウド生態系」とはなにか。
これは、従来の「ネット=PC生態系」と対比されるものです。経済の基本は交換*2ですが、PCの場合、それが成立しないことが多々あります(cf.海賊版)。もちろん、であるがゆえに広がった部分はあるけれども、これではお金がとれない。
そこで、Appleが生み出したのが、iPodとiTune music storeの組み合わせ。つまり、PCよりも汎用性の低いデバイス=コントロールはされるけれども単機能で使いやすいデバイスを用意することで、PCの場合に生じていたコピー可能性をコントロールしていく。その上で課金を行っていく。こういった仕組み、インターネットの上には成立しているけれどもひとつの生態系を構築しているような仕組みを境さんは「デバイス=クラウド生態系」と呼んでいるとのことです。


#やっぱり、デバイスでコントロールされることって結構思うところもあるわけです。日本人がYahoo!ばっか使うのだって、もともと入ってるIEのホームページがYahoo!になってるからとか言うし、導入初期の経路って結構意味を持つ、と考えると、iPadデファクトスタンダードになる(ならざるをえない)っていう状況はよくよく見てかないと行けない気がするなぁ。


こうした形式の進展により、近年ではFreemiumと呼ばれる経済が登場していると言われます。*3音楽で言えば、楽曲そのものはほとんどタダのような値段で配信するけれども、それをプロモーションとして、ライブで儲けようという形式です。*4しかし、TVや映画、あるいは書籍というものはこうしたFreemium経済が成立しづらいというのが境さんの主張です。
しかし、そうしたコンテンツにもiPad/Kindleというデバイス=プラットフォームの登場で課金の可能性が出ているといいます。


#めっちゃ共感。やっぱり、本売るのと講演とまとめて商売と思うのはちょっと違う気がする。例えば小説は?っていうのもあるし*5。音楽業界がライブで儲けるって言ったって、ライブ昔からやってたよね?って疑問があったりなかったり。


ここで会場からの質問として、imodeとの違い(ある意味同じでは?)というものがでました。
その答えとして、「支払いの文脈」のプロデュースの問題が提示されました。imode初期にはケータイにブラウザが付いていること自体が、付加価値であり、課金もうまく行った。しかし、うまく行ったがゆえに、今見ると、払っているという感覚が強く出る形式になってしまっている。Appleのうまいのはその部分で、ブラウザを使わず、インターネットをiTuneというアプリケーションでラップに包むことで、支払っている感を薄めた、これが功績だ、と。
海外でのimodeの普及状況について追加の質問が出ましたが、普及が進んでいないの1.NTTが力を入れなかった 2.すでにPCインターネットが普及した02年くらいのことでタイミングが悪かった 3.回線が3Gになっていかなかった と複数の要因をあげて説明していました。


#まぁこのへんの話は割と専門でもあり、ふむふむ、って感じ。


次に、iPadKindleはほんとに普及するのか、という話題に移りました。
つぶしが効くので普及するでしょうというおはなし。格差についても、ほんとにひどくなれば社会保障の対象ともなり、それほど大きな問題ではないのではないか、というお答えでした。


#このあいだ友達に見せてもらってちょっと欲しくなったけど、買えないなぁ・・・。家内で誰か買わないかなぁ、と思っているのだけれども。


今日のところはこのへんで。
明日予定の下では「検閲」やコンテンツのこれからなどいよいよホットなイシューに入っていきますので乞うご期待。


#ほとんど序文で終わってしまった。おやすみなさい。

*1:http://bit.ly/9YnWXd

*2:お金とモノ、など

*3:http://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%83%AA%E3%83%BC~%E3%80%88%E7%84%A1%E6%96%99%E3%80%89%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%8A%E9%87%91%E3%82%92%E7%94%9F%E3%81%BF%E3%81%A0%E3%81%99%E6%96%B0%E6%88%A6%E7%95%A5-%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%BD%E3%83%B3/dp/4140814047

*4:他にもSNSのサービスなど様々な例がありますが、アンダーソンの前掲著を参照

*5:とはいえそのへんこそ紙の本が売れそうな分野でもあり儲け方はいろいろなのかも?