読書は人間の夢を見るか

平々凡々な社会人の読書と考えたこと。本文・写真についてはCC-BY-SA。当然ながら引用部分等の著作権は原文著者に属します。

二か月弱の育休を終えて

7月の頭から取得していた育休もいよいよ最終日となりました。

たかだか2か月育休を取得しただけで偉そうにするな、とか、珍しいものとして扱うな、(女性は半強制的に1年以上フルで働けないのだ)、という御意見を拝見し、うなづくとともに世の変化を感じています*1

 

個人的な意見では、少なくとも男女同率で育休を取得する(場合によっては男性も産休を義務付ける)くらいの社会のほうが良いのではと思うこともあります*2し、職場からも(冗談交じりではありますが)一年くらいとらなくてよいの?と聞かれたこともあります。

妻が一年取得していることとのバランスはひとえに経済的事情と、夫婦の個別の事情によるものです。

 

それにしても、個人としては、人生で多くて数回の機会のうちの一回ですし、せっかくなので感想を書いてみたいと思います。

 

1.私たちの状況

まず初めにどういう状態で育休に入ったか、についてまとめておきます。

妻は、里帰り出産で、身体的な事情もあって、出産の2か月ほど前に実家に戻りました。そして、残念ながら、新型コロナウイルスの影響で、立ち合い、面会等は謝絶となりました。4月に無事出産となりましたが、緊急事態宣言が出されたことなどもあって、約2か月半は離れ離れの生活となりました*3

この間、業務的にも(珍しく?)繁忙の状態が続き、コロナもいつ落ち着くかという見通しの立ちにくい状況ではありましたが、一区切りつく時期を狙って、育休を申請することにしました*4。前にも書いた通り、職場のほうは快く送り出してくれました。

 

2.育児と介護

我が子は、どちらかといえば、育てやすい子、に属するのかな、と思います。

いつもニコニコしていて、両親や祖父母を励ましてくれます。仕事終わりに駆け付けた7月の夜、初めて出会ったときも、私の指を握って、あぐらの中でスヤスヤと眠ってくれました。

 

いったん、妻の実家に向かい、連れ帰って、我が家で過ごす予定でしたが、諸事情あって、妻の実家で一か月半、こちらに帰ってきて、2週間といったバランスになりました。

育児自体は、介護の経験と、年の離れた妹を抱き、あやしていたのときの記憶*5がありましたので、それほど違和感なく入っていけたように思います。

 

父の介護をし始めたとき、育児につかれた先輩に、介護と育児は似ていると思う、などと生意気を言いました。というのも、普段意識していない、食事、排せつといった日常の行為を(身近な)他者を通じて再経験することであるように思われたからです。だからこそ、何かができるようになれば、素朴な喜びを感じる一方で、自らをささげていると思えば、自由を奪われているようにも感じるのではないでしょうか。

自分で両方を経験してみたところでは、半分当たり半分外れ、といったところでしょうか。赤ん坊のほうが圧倒的に取り回しが楽、といった物理的な違いもありますが、(介護も育児も千差万別ですが私の場合は)、介護は寝返りをしてくれないことがつらく、育児は寝返りをしすぎてしまうことがつらい、ということができるかもしれません。

父の場合は、自発的な動作が少なく、夜中に寝返りをうつこともなく、食事も食べようとしないことがある。そこで、こちらから行動を促し続けなければいけない(そうしないと状態が悪くなっていってしまう)、というつらさがありました。一定程度は、技術的に解決可能で、リハビリでよくなる部分もあるにはあるのですが。*6

一方、育児の場合には、こちらから頼まなくても、毎日、新しいことを覚えていきます。横を向くようになり、寝返りを打ち、腹ばいから顔を上げるようになります。それは時に涙が出るくらいに喜ばしいことではあるのですが、悩ましい新たな問題でもあります。うつぶせのままでは窒息してしまうかも、と目が離せない、といった具合に(最近では寝返りを感知するIoT機器などもあってだいぶ楽になったのだろうと思います。)。

 

3.介護と家事

それでも、前半は(多少料理や皿洗いをしていたものの)だいぶ楽をさせてもらったように思います。

育児と家事を両立する、という大変さと向き合っているのは、ここ数週間のことです。

出産前から、家事は緩やかに分担(キッチンがらみは私、洗濯がらみは妻)していたのですが、子どもを抱えながら、家事をするというのはなかなか大変でした。あっちへころころ、こっちへころころして、ときに泣いているので、なかなか手元の作業が進みません。

せめて、自然におんぶができるようになると同時並行でできるのですが、前に抱っこしながらではなかなか料理もしがたいものがあります。かといって、ようやく寝かしつけた横で、ガチャガチャと洗い物をするのも気が引けるわけです。この辺りは、皆様のお知恵も拝借したいところですが、今のところ、一人が面倒を見ている横で家事をするのが解になっています。

 

4.最後に

純粋に自分のことに専念できる時間は減りました。寝ていてもいつ起きるかわかりませんから、1時間はフリーだ、と思うことはできません*7。でも、その不便を置いて余りあるものを与えてくれているように思います。

私の小さなころに似た、それでいて、我が子かと疑うほどにかわいい赤子が、屈託のない、という言葉そのもののような笑顔をこちらに向けてくる。いつからか、こういう顔をしなくなっていた自分にも気づきました。

保育園巡りをしながら、本当に保育園に入れるのだろうか、と不安になることもありますが(入れなかったら私が仕事辞めるのかなぁ)、いま人生で一番「死にたくない」と思えているのは、この子の与えてくれた充実のおかげです。

 

 

 

*1:数年前に育休取得された先輩もこの間の変化をブログに書かれています 3カ月間の育休に入りました - かぶとむしアル中  人生最長の夏休み?/7〜8月は子供と戯れて過ごします! - かぶとむしアル中

*2:個人の選択の領域ではありますが、女性「が」/「は」育休産休を取るもの、というのは就労上の不利益を生みかねないと思います

*3:本来であれば出産後少しして迎えに行き、育休に入るつもりでした

*4:手続きは一か月以上前に、とかいろいろあって焦りました。お考えの皆様は早めの相談をおすすめします

*5:以下を参照。

*6:以下を参照。

父と息子の大闘病日記

父と息子の大闘病日記

 

*7:読書とかは比較的相性良かったですかね