読書は人間の夢を見るか

平々凡々な社会人の読書と考えたこと。本文・写真についてはCC-BY-SA。当然ながら引用部分等の著作権は原文著者に属します。

長らくご無沙汰しています。

新しい環境に馴染むのに精一杯、というか、
まとまった時間を使っていろいろ考えるということがどうしても難しかったもので。
新しい企画を始めてみようと思います。
ニュースの記事などをざっと概観してわかった気分になろう、という企画です。


第一回の今回は「普天間問題」について見てみたいと思います。


普天間代替で日米合意 自衛隊と共同使用検討

 日米両政府は22日、米軍普天間飛行場沖縄県宜野湾市)移設に関する合意文書の全容を固めた。キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)を埋め立てる現行計画の3年近くに及ぶ環境影響評価(アセスメント)の手続きを遅らせないと指摘。辺野古崎の周辺を現行通り埋め立てる構想を事実上示すと同時に、普天間代替施設を念頭に自衛隊との共同使用を進める方向で検討する考えを明記した。

 国連総会が開かれる9月を想定し、外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)での詳細な移設計画の策定を明示。沖縄の負担軽減策として、普天間に駐留するヘリコプター部隊の沖縄県外への一部訓練移転を掲げる一方、政府がその候補地の一つとして移設原案に入れた鹿児島県・徳之島は米側の消極姿勢を受け合意文書に盛り込まない。ただ政府は当面、徳之島に協力を求める構えだ。

 鳩山由紀夫首相は23日の沖縄再訪問で、仲井真弘多知事に概要を説明する見通し。日米は28日に合意内容を2プラス2の共同声明などの形で公表する方向だ。しかし沖縄側は県内移設に反発。9月までに移設計画を策定しても順調に進む見通しは立っていない。

2010/05/23 02:05 【共同通信
http://www.47news.jp/CN/201005/CN2010052201000674.html


とこのように、共同通信が伝えるように、普天間問題もついに、辺野古案+αのような形で決着がつきそうです。
決着がつく、という言葉は難しいようで、各紙一斉に社説を出しています。
今回はその社説を見ていきましょう。


まず、最も厳しい論調を打ち出しているのが毎日新聞
「沖縄の反発強める愚策」と題して首相の行動を批判しています。
曰く、沖縄県民は鳩山首相をアメリカの言葉を伝えるメッセンジャーくらいにしか思っていないとか。
「展望が開けないまま先送り」していった末、体裁を整えるためだけに合意をすれば、
最悪の事態=普天間継続使用も見えてくる、と結んでいました。


対して、多少なりとも評価をした上で移設を急ぐよう言うのが、産経新聞
「「辺野古」で合意まとめよ」と題し、辺野古案を現実的なものとしています。
むろん、首相へ厳しい言葉は浴びせているものの、「決断を支持する」と、辺野古案推進を急ぐようにいいます。
抑止力として機能が維持されることは当然必要なので、
耳に聞こえの良い軽減策(演習の県外移転など)をいうより、実現を急げと言う論旨です。


辺野古案を支持するのは同様ながら、沖縄との関係構築を説き、
連立政党の意見という壁を越えよと言うのが、「決断先送りのツケは大きい」と論じた読売新聞。
社民党への配慮=先送りは、議会の少数勢力に振り回されて国防的決断ができない=国益に反することと断じます。
鳩山首相の決断を促す内容です。(当然論調は厳しい)


日本経済新聞は「日米同盟の役割に国民的な理解を求めよ」として、少し違った視点から意見を述べています。
最悪の事態を基地の固定=安保への損失、としつつ、基地受容のための国民的理解を求めます。


東京新聞朝日新聞の2紙はそれぞれ、「結局元の木阿弥か」、「より険しくなった道のり」として、首相の責任を問うています。
東京新聞が体面を保つための合意は「米国に対する外交的立場を弱める」といえば、朝日新聞は抑止力そのものに疑問符を投げかけます。
また、将来的な基地負担をどう減らしていくのかといった根本的議論の必要性をといていました。


ざっと各紙の論調を見た限り厳しいものが多いです。
当初の案に戻っただけなのですが、ここまで叩かれるのは期待させやがって、約束破りやがって、という部分なのでしょう。
ただ、多少勉強不足だったのかもしれないとはいえ、基地を県外に移転すると言う努力は必要なものだったように思います。
また、それは「絵空事」だと批判するならば、最初にその言葉を発した時点で言わなくてはならないのではないかな、とも思います。
もちろん、沖縄の方々や周辺の方々においては人生を左右するような問題でしょうから、
約束を反故にしたことに関しては、責任をとるべきでしょう。
しかし、「じゃあ、どうすればよかったの?」がない後出しの批判は見ているだけでも生産性がないように感じます。


新聞、読み比べてみると全然違っておもしろいですね。
また、逆に同じところがいっぱい発見出来るのも面白いです。